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街再生への壁」上新しい選択肢浮上も
「百貨店、物販誘致の現状は陰の極み。明るくなるのを期待し、確信する」。松菱跡の解体ずれ込みを十八日、発表した再開発業者「アサヒコーポレーション」の竹内良社長(五七)は、苦しい胸の内をあらわにた。
松菱跡は浜松市の一等地。本館前でニュースを聞いた主婦(五二)=浜松市和合町=は「これからクリスマスでにぎわう場所なのに、ここだけ暗いのは本当に寂しい」と表情を曇らせた。
「古い建物を早く解体してほしい」。多くの市民の願いだが、権利調整が長引いたのに加え、核テナントが決まらないと建物解体は法的にもできない。突然の破たんから実に四年。買い物客がいなく立ち続ける建物は、浜松の影の部分を象徴するかのようだ。
店舗進出の打診がないわけではない。ただ、市民が待ち望む、有力核テナントの具体的な交渉に入れずにいる。建物解体と新商業施設開店のずれ込みは、周辺商店街にも少なからず影を落とす。
浜松商店界連盟の御園井宏昌会長(七七)は「(解体ずれ込みの)うわさは聞いていたが中心部にとってはつらい。年内解体がベターだったが困った」と空洞化への影響を懸念する。
「心配している」。権利調整の役割を終え、ことし三月に松菱跡再生協議会を解散した中山正邦浜松商工会議所会頭(六四)の言葉も重い。竹内社長が語るように事態が好転するのか。「一発逆転を期待したい」という市関係者の言葉も保証はない。
市民に歓迎される大手物販が来るのか。物販をあきらめ、他の業種に転換せざるを得ないのか。竹内社長は「いたずらに引っ張りたくない」とし、新たな選択肢も見据えた早期決着を期待するが、中山会頭は「当初計画と違う形になる場合は(アサヒ社の)説明責任がある」と指摘する。
「買い物客は郊外に向き、街中は暗い。早く商業施設を再開してほしい」。松菱跡前で乗客を「待つタクシー運転手(六〇)は市民の願いを代弁するが、状況は全く楽観できない。
首都圏の大手商業施設の浜松に対する評価は今なお低いのか。行政、経済界の地域力があらためて問われている。
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十一月に入り、イトーヨーカドー浜松駅前店の二〇〇七年一月の撤退方針、松菱跡再開発の遅れとマイナス材料が表面化した浜松市。関係者の声を交え、政令指定都市を目指すまちの課題を探った。
(この連載は浜松総局・野島純子、川北楽人が担当します)(静新11月19日朝刊)
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- 2005/11/19(土) 10:06:59|
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