「明日の沼津」迫る市長選 下
津波対策 避難施設確保が鍵

駿河湾を抱き込むように、60㌔に及ぶ海岸線を持つ沼津市。東日本大震災以降、津波への市民の警戒心は日に日に高まっている。
内閣府が公表した南海トラフ巨大地震の被害想定で、沼津市内の最大津波高は10㍍と推計された。沼津港周辺や戸田地区中心部が浸水すると見込まれる。
「逃げると言ってもどこに逃げたらいいのやら」。沼津港に近い同市我入道の自営業男性(66)は苦笑いを浮かべながら、そうつぶやいた。
我入道地区の海抜は1~4㍍台。県の第3次地震被害想定で津波浸水域になっている。近くに海抜61・5㍍の牛臥山があるものの、自然景観を保護する風致地区も広がっているため津波避難ビルとなり得る高層建物が少ない。
市によると、同地区では人口約3400人に対し、津波避難ビルの収容可能人数が約2800人分不足している。隣接する第三下香貫地区も人口約8千人に対し、約1160人分が足りないという。
市は昨年から2年計画で、津波避難訓練対象区域内に約200カ所の津波避難ビルを指定する▽自治会の要望などを踏まえ、177カ所の津波避難路を指定する▽海抜表示板を1200カ所に設置するーなどを盛り込んだ「緊急地震・津波対策アクションプラン」に取り組んでいる。
現時点で計画はほぼ完了しているが、「津波避難ビルの指定数は地域に偏りがある」(市危機管理課)のが実情だ。市は地域の実態に応じた対策を講じるために、人工高台の設置も検討し、国に対しては建築に関する規制の緩和を求めている。
その一方で、同報無線を自動受信する防災ラジオの有償配布や、ブロック塀の撤去・改善に対する公費補助の増額など、市民の避難行動を支える施策を強化した。
防潮堤や津波避難タワーといったハード面の強化を求める市民の声は根強い。だが、西浦地区の団体職員の男性(44)は「市の財政が厳しいのは誰もが分かっていること。細かな対策でもいいので市民の自助努力を応援する施策をもっと増やしてほしい」と訴える。(東部総局・田辺貴一、豊竹
喬が担当しました)
《静新平成24年10月13日(土)朝刊》
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- 2012/10/13(土) 11:24:03|
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